Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Read 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 60,713 characters · 122 screens
「昨日、玉川で一緒にゴルフをしたジュリアがそうだったか。……」
そこで課長はもどかしそうに叫んだ。
「キャバレーの主人オトー・ポントスはいつかの夜のキャバレーの惨劇で、ジュリアの殺人を見たのが、運のつきだったんですネ。ジュリアは夜陰に乗じてポントスの寝室を襲い、まずナイフで一撃を加え、それからあのレコードで『赤い苺の実』を鳴らしたんです。ポントスはジュリアの独唱を聞かせられながら、頸部から彼女に血を吸われたんです。それから秘密の壁に抛り込まれたんですが、あの巨人の体にはまだ血液が相当に残っていたため、暫くは生きていた――というのですネ」
検事は黙々として肯いた。
「ではこれから、逮捕に向いたいと思いますが……」と課長はいった。
「よろしい。――が、いま時刻は……」
「もう三分で午後九時です」
「そうか。ではもう三分間待っていてくれ給え、儂が待っている電話があるのだから」
大江山課長は、後にも先にも経験しなかったような永い三分間を送った。――ボーン、ボーンと遠くの部屋から、正九時を知らせる時計が鳴りだした。
「遂に電話は来ない。――」と検事は低い声で呻くように云った。