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だみんどうもうご
惰眠洞妄語
辻 潤
Read 惰眠洞妄語 (だみんどうもうご) by 辻 潤 (つじじゅん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,509 characters · 7 screens
しかし、私は偶然にも近頃、その人の『春と修羅』という詩集を手にした。
近頃珍しい詩集だ。――私は勿論詩人でもなければ、批評家でもないが――私の鑑賞眼の程度は、若し諸君が私の言葉に促されてこの詩集を手にせられるなら直ぐにわかる筈だ。
私は由来気まぐれで、甚だ好奇心に富んでいる――しかし、本物とニセ物の区別位は出来る自信はある。
私は今この詩集から沢山のコーテェションをやりたい慾望があるが――。
わたしという現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です(あらゆる透明な幽霊の複合体)――というのが序の始まりの文句なのだが、この詩人はまったく特異な個性の持主だ。芸術は独創性の異名で、その他は模倣から成り立つものだが、情緒や、感覚の新鮮さが失なわれていたのでは話にならない。
3
真空溶媒(Eine Phantasie im Morgen)凡ゆる場合に詩人の心象はスケッチされる。万物交流の複合体は、すでに早くもその組立や質を変じて、それ相当のちがった地質学が流用され、相当した証拠もまた次々の過去から現出し、みんな二千年ぐらい前には青ぞらいっぱいの無色な孔雀がいたとおもい、あるいは白堊紀砂岩の層面に、透明な人類の巨大な足跡が、まったく発見されるかも知れないのだ。