Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わがやのらくえん
我が家の楽園
久生 十蘭
Read 我が家の楽園 (わがやのらくえん) by 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 90,195 characters · 175 screens
先に、紹介しとこ」
そういうと、家来でも呼ぶような乱暴な口調で、おいおいと半白の紳士を呼びつけ、
「こいつは、ヘンリ清水という土建屋のボスでね」と石田氏に紹介した。
チョーク縞の、すごいダブルのスーツを着たヘンリ清水という紳士は、むかし下町の商人がやったような、いかにも古風な揉手をしながら、
「只今、ご紹介にあずかりました、私がヘンリ清水でございます。どうか、よろしく」と慇懃極まる挨拶をした。
石田氏はタジタジになり、坐りなおしてお辞儀をすると、太田夫人は八つ手の葉のような大きな手を振って、
「石田さん、やめときなさい……こいつはですね、米国工学士などと自称しとるが、なんのことやら、わかったもんじゃないですよ。うちが労務者管理でオタオタしているうちに、こいつは、この家にいた設営局のシュラーに食いついて、シコタマ貯めこんだという大悪党や」と説明してきかせた。
清水氏は胸のかくしから、眼にしみるような白いハンカチをぬきだすと、なんのつもりか、意味もなく、顔の前でヒラヒラさせながら、
「終戦以来、私は参謀第四部で設営局の仕事の下請をやって居りましたが、ここにいるミセス太田や、世間の日本人が考えているような、儲かるなんてえ性質のもンじァありません……民間の仕事なら、ペテンをやって、見えないところで手をぬく、なんてえ技を