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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Read 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 116,728 characters · 231 screens
行き詰まりは驚くに足りない、書かねばならないことは何度書いていても、そこに命があればそれを読み分ける方にも、よろこびがあるというものだ。
わが児は歩む
吾が児は歩む
大地の上に下ろされて
翅を切られた鳥のやうに
危く走り逃げて行く
道の向ふには
地球を包んだ空が蒼々として、 (後略)
この詩は八十行からの長詩であるが、最初の六行の美しさをうすく後の詩でうめたようで、この六行のすばらしさには及ばない。「地球を包んだ空が蒼々として、」の表現には、無限という言葉がしっとりと包まれている。彼がたまに見せる詩の奥は、所謂かがやくばかりだと言ってよい。
初めて小供を
初めて小供を
草原で地の上に下ろして立たした時
小供は下許り向いて、
立つたり、しやがんだりして
一歩も動かず
笑つて笑つて笑ひぬいた、 (後略)
「子供は下許り向いて」歩いている状態には、子供自身も危ながる心づかいがうかがわれ、そこに着眼した愛情の眼づかいが、こまかく、さすがに生きた逞しいものを掴まえている。千家は物を見つめるよりも、いつも、さっと通りすぎる視界で捉える物を捉えていたが、ここでは、時間的にくい込んでいる眼があるのだ。