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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Read 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 116,728 characters · 231 screens
言ひがたき秘密住めり
身をあげて活ける牲とは
君ならで誰か知らまし (後略)
君こそは遠音に響く
君こそは遠音に響く
入相の鐘にありけれ
幽かなる声を辿りて
われは行く盲目のごとし (後略)
農夫
あゝ吾胸は写すべき
言葉も知らぬかなしみを
宿せし日より昼も夜も
深き思ひに沈みつゝ
(中略)
このかなしみの乳房より
われさま/″\の智慧を飲み
にがき世の味物の裏
人のまことも虚偽も
あぢはふ身とはなりしなり (後略)
抒情詩の初期の試作時代にあった藤村の抒情詩は、さすがに彼の尨大な小説群をうしろに控えていただけに、泉からしみ出たほとばしりを見せている。私は薄田泣菫とか横瀬夜雨あたりを読んでいて、藤村の世界から、青少年時代は隔れた詩境にいた。むしろ藤村の詩をまなぶよりも、小説『破戒』その他に傾倒していた、というより藤村をまなぶことが、古いという意識がはたらいていて、そのくせ、藤村の純度が掴めなかったのである。生意気盛りの私は小説『春』から小説をまなぼうとして、彼の詩をかえり見るひまはなかったのである。洗練と優美、穉気純度の溢れる藤村を見つけたのも、ずっと後の日の驚きだった。