Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Read 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 116,728 characters · 231 screens
書物のお金が沢山はいった嬉しさがそうさせたせいもあるが、母というものが十年も十五年も別れ住んでいても、一旦逢いたくなって綻びがとけかけると、どうにもならなく逢いたいものらしい。葉子さんは自分の倖せをせめて半分でも分けたい気で、お母さんを東京に呼んだのである。葉子さん自身も夫にわかれた直後であったので、母と娘とがどういうふうに物語りをすすめていたことか、ただ、私はありがたい事というものは、こういう事をいうのだろうと思った。
萩原朔太郎はくすんだ情熱は持っていたが、気は弱く控え目で、そんな飛行機に乗って北海道にまで出掛ける人ではない、どんな場合でも思い切った事は出来ない人である。併しこんな伏眼がちで怯えたように人の顔も、まともに見すえるということをしない彼が、生涯五十七年の間に、先妻にも別れ、また後の妻にも別れていた。どんなに威張り返っていてその妻と毎日ケンカ口論をしていても、一旦奥さんというものと相伴ったら、なかなか別れるなどとは思いもかけないことである。威張れば威張る程別れられないし、ワカレルワカレルといっても、胴締めはワカレルという言葉のたびに、勁く締めつけられるのである。