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わがやのえんげい
我家の園芸
岡本 綺堂
Read 我家の園芸 (わがやのえんげい) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,666 characters · 8 screens
十郎の簑にや編まん青薄
これは角田竹冷翁の句であるが、まったく初夏の青すすきには優しい風情がある。それが夏を過ぎ、秋に入ると、殆ど傍若無人ともいうべき勢いで生い拡がってゆく有様、これも一種の爽快を感ぜずにはいられない。殊に尾花がようやく開いて、朝風の前になびき、夕月の下にみだれている姿は、あらゆる草花のうちで他にたぐいなき眺めである。
すすきは夏も好し、秋もよいが、冬の霜を帯びた枯すすきも十分の画趣と詩趣をそなえている。枯れかかると直ぐに刈り取って風呂の下に投げ込むような徒はともに語るに足らない。しかも商売人の植木屋とて油断はならない。現に去年の冬の初めにも、池のほとりの枯すすきを危く刈り取られようとするのを発見して、私があわてて制止したことがある。彼らもこの愛すべき薄を無名の雑草並に取扱っているらしい。
市内の狭い庭園は薄を栽えるに適しないので、私は箱根や湯河原などから持ち来って移植したが、いずれも年々に痩せて行くばかりであった。目黒に移ってから、近所の山や草原や川端をあさって、野生の大きい幾株を引抜いて来た。誰も知っていることであろうが、薄の根を掘るのはなかなかの骨折り仕事で、書生もわたしもがっかりしたが、それでもどうにか引摺って来て、池のほとり、垣根の隅、到るところに栽え込むと、ここらはさすがに旧