Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
がらくたがんぐ
我楽多玩具
岡本 綺堂
Read 我楽多玩具 (がらくたがんぐ) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 1,846 characters · 4 screens
なぜこの八厘という端銭を附けるのか知りませんが、二銭五厘や三銭というのは決してありませんでした。天保銭がまだ通用していた故かも知れません。うす暗いカンテラの灯の前に立って、その縁日玩具をうろうろと猟っていた少年時代を思い出すと、涙ぐましいほどに懐しく思われます。
私の玩具道楽、しかも我楽多玩具に趣味を有っているのは、少年時代の昔を懐しむ心、それがどうも根本になっているようです。私が玩具屋の前に立った時、先ず眼につくのは旧式の我楽多玩具で、何だか昔の友に出逢ったような心持になります。実用新案の螺旋仕掛などには何の懐しみを有つことが出来ません。随って小児にまでも頭脳が古いと侮られますが、どうもこれは趣味の問題ですから已むを得ません。旧式の張子の仮面などを手に把ってじっと眺めていると、ひどく若々しい心持になる時と、何とはなしに悲しくなる時と、その折々に因って気分の相違はありますけれども、いずれにしても、その玩具を通して少年時代の夢を忍ぶことは、私に取っては嬉しいことです、堪らないほどに懐しいことです。大人でないと笑われても、私はこの年になるまで、我楽多玩具と別れを告げることは出来ません。