Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

Read 支倉事件 (はせくらじけん) by 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 204,697 characters · 406 screens

Aozora Bunko

「そうです」

「そんならやがて知らせが来るかも知れん」

根岸は考えながら、

「じゃ、君こうして呉れないか。支倉が何んと云う偽名で寄越すか知れんが、仮りに松下一郎で来たとしたら、その手紙を我々が開いて好いと云う事を承諾して呉れないか」

「えゝ、仕方がありません」

浅田は渋々云った。

「承知しましょう。だが無闇にどれでも開封せられても困りますが」

「そりゃ心配しなくても好いさ。いくら俺達だって、常識と云う事は心得ているからね」

「そんなら好うがす」

浅田は大きくうなずいた,

「それで私は帰して呉れるでしょうね」

「さあ」

根岸は気が進まないように答えた。

「君を帰すとすると手紙は直接君の手に這入るからね。支倉から来た分を隠される恐れがあるんでね」

「もうそんな事は決してしませんよ」

「うん、それもそうだろうが、こっちの方じゃ警戒しなければならんからね」

「じゃ、何ですか、云うだけ云わして置いて、帰して呉れないのですか。一体あなた方は約束と云うものを守らないのですか。あたたは始めに私を帰すと約束したではありませんか」

浅田は気色ばんだ。

「そうむきにならなくっても帰すよ」

根岸は静かに云った。