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せいだんつきのかがみ
政談月の鏡
三遊亭 円朝
Read 政談月の鏡 (せいだんつきのかがみ) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 54,603 characters · 108 screens
武「喰い酔うも何もない名前を云え、云わんか」
△「へえ大変だな、熊ッ子てえます」
武「熊ッ子と云う名前はない、熊吉か熊五郎か何うだ」
×「へえ慥か熊五郎」
武「慥か熊五郎と云う奴があるか、貴様は何んと云う名だ」
×「私も……私は何も云やアしません」
武「何も云わなくとも連れだから云えよ」
×「何うぞ御免なすって」
武「ゆるせと申したって連れだから貴様の名も書かなければならんよ」
×「へえ……私ア、ガチャ留と申します」
武「ガチャ留と云う名が有るか」
留「何だか知りませんが子供の時分から、ガチャ留ッてえます」
武「留吉か留次郎か」
留「其処の処は私どもの事ですからガチャ留でお負けなすって」
武「負けると云う事はない、留吉か全く」
留「えへゝゝ忘れました」
武「自分の名をわすれる奴があるか貴様達は最う宜しい」
両人「有難う存じます」
と両人は直に駈出して小田原迄逃げたと云うが、其様に逃げなくっても宜しい。此の武家は莞爾笑って直其の足で京橋鍛冶町へ参りました。又、親父の孫兵衞は只おろ/\泣いてばかり居ます、家主も誠に気の毒で間が有れば時々見舞いに来ます。