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ぶんかせいさんしゃとしてのじかく
文化生産者としての自覚
宮本 百合子
Read 文化生産者としての自覚 (ぶんかせいさんしゃとしてのじかく) by 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,920 characters · 10 screens
税務署も、文筆家は、ほかの勤労とちがうとして、開業医、弁護士なみの所得税徴収の基準をたてている。私たちは、作家という社会的な仕事を、現実に自分の企業として行っていない。労作の努力、そのかげにかくされた永い歳月の辛苦、それらは一枚いくらという原稿料で支払われない人生の刻々の蓄積である。それをいわないで、勤労の標準価値としてみても、原稿料は、出版企業のより巨大な利潤に比べて比較にならない小部分をしめている。商品としてうごかされる一万部の本の一割二分、五分、が印税である。
そう見て来れば、文筆活動が、社会の文化生産のための勤労として、やはり、資本の本質にしたがった関係におかれていることが明白である。ただ、近頃一部の作家の間に流行しているように、小金をためて来た作家たちが、背後により大きい資本と結合して、出版企業体を組織し、株主や理事になって、利潤の分配に直接関係しはじめている人々は、作家といっても、それは例外である。職人が小金をためて、親方となり、小経営をもちはじめたような関係にある。
文筆家が、自分たちのおかれている現実の社会関係を理解しはじめていることと、出版・印刷の労働組合が、人民大衆の社会的発言の形態としての出版の活動の真の意味を把握する歩調とがある程度そろったとき、日本の文化は、出版の刷新の可能から