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ぶんがくてきじょうぜつ
文学的饒舌
織田 作之助
Read 文学的饒舌 (ぶんがくてきじょうぜつ) by 織田 作之助 (おださくのすけ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 4,597 characters · 10 screens
丹羽文雄氏にもいくらか海千山千があるが、しかし丹羽氏の方が純情なだけに感じがいい。僕は昔から太宰治と坂口安吾氏に期待しているが、太宰氏がそろそろ大人になりかけているのを、大いにおそれる。坂口氏が「白痴」を書かない前から、僕は会う人ごとに、新人として期待できるのはこの人だけだと言って来たが、僕がもし雑誌を編輯するとすれば、まず、太宰、坂口の両氏と僕と三人の鼎談を計画したい。大井広介氏を加えるのもいい。
文学雑誌もいろいろ出て「人間」など実にいい名だが、「デカダンス」というような名の雑誌が出てもいいと思う。
文学は文学者にとって運命でなければならぬ――と北原武夫氏が言っているのは、いい言葉で、北原氏はエッセイを書くと読ませるものを書くが、しかし、「天使」という北原氏の小説は終りまで読めなかった。「天使」には文学が運命になっている作家北原氏を感じさせないからだ。北原氏自身は、文学は自己の運命だと信じているのだろうか。信じているとすれば、それを感じさせない「天使」の弱さは、どこから来るのだろうか。北原氏が荷風以下多くの作家を時評で退ける時の強さを、いつ作品の上で示すのだろうか。