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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
わたしは、掌の上にある時計を見詰めた。三分経った。からしを剥いで見ると、赤い反応が皮膚の上に出て来た。
「これが出ないと、ちょいと困るんだ。」
写野さんはこういうと、障子に布を覆うこと、吸入は二タところにやることなどを注意した。樋口さんは、七本目の注射を用意して立っていた。
「酸素饑餓という状態ですな。」
写野さんは、これだけ言うと、無駄をいわずに、座を立とうとした。この人は技術で病気に向う人だと思った。樋口さんは情熱で病気に対う人と思った。
「大丈夫でしょうか。ああも悪いとは気がつかなかったのです。」
私は新しく驚いて、写野さんの少し気取ったような、しかし自信の強い広い額を見あげた。
「からしの反応が遅かったからちょいと心配はしました。しかし手当に残っていたものがありましたから……。」
そういうと、すぐ帰ってしまった。どこか重々しく一流の気稟をもっていた。わたしは写野さんに見てもらったことを喜んだ。そして信じた。
吸入器を一つは伊織のおばさんが持ち、他の一つは車やの鈴木が水をさし、妻と看護婦が交る交る酸素吸入の口を向けた。炭火を起したりつぐために夏は忙しかった。