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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
よくないね、もう忘れてしまっては?」
「いえ、ここからはよく見えない、声だけはするけれど。」
童子は、しばらくすると又あるき出して、荷物をかついで寂しい足音を立てて行くのである。
「もう少し話したらどうだね。お前のようにそんなにせかせかして行かなくともよいではないか。」
「あなただちはそうしてご飯をたべて居らっしゃればいいのです、ですけれど此処ではそういう暢気なことをしていられないのです。」
「なぜだ。」
「なぜでもあなた方とわたくしとはもう別なものですから。」
童子は、すたすた歩き出し、あとをも振りかえろうとしなかった。私は目をすえ、見送っているうち、庭のあたりでこのごろ飼った河鹿がしめやかに啼いた。
「啼きましたね。」
「ア、啼いた。」
私はふと思いかえしたように、女が箸を下におこうとするときに言った。
「あの子が死ぬ前の日に、(さんざんこの子は病気してからわるくなるんじゃないか。)と言ったね。なぜああいうことを言ったのだ。あれは言いあてたようなものだ。」
「でもあのときは怎うもあんな気がしてならなかったのです。言っちゃわるかったか知ら。」
「悪かった。へんにあの言葉があたまに残っていていけない。