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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
』
といわれました。
阿闍利さまは秋には百合を埋め、山芋を埋めて置かれ、冬それを掘り上げてお食りになるのだそうでございます。その他、南向きの山の温かい石のかげに、時知らずのわらびや、ぜんまい、あざみの芽を植え、それを冬の間に召しあがるので、すこしも不自由はしていないと申され、
『米はあなたがお携ちくださるからその方の心配はなし。わしはこうして静かに暮しているのが何よりのたのしみじゃ。冬焚くものは夏の間に折り積んで、庫裏に片よせておきます。』
なるほど阿闍利さまのそういうお暮しはまことに都合よくちゃんと決めて行われていますゆえ、見たからにわたくしどもと違った清々しさがうかがわれるのでございます。それに寺の中は荒れていても綺麗に掃いてございました。炉のほとりには谷川の水が沸々煮えていて、そのお茶をいただいたときは、あれほど結構なお茶を喫んだことが無いと思ったほどでございます。榾柴で焚いたお湯ほどおいしいものはございません。
阿闍利さまは申されました。
『わしがこうしていても、山々の姿や、木や岩石にいたるまで、やはり人間の顔のように見えてくるから不思議じゃ。