Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Read 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) by 室生 犀星 (むろうさいせい) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 177,454 characters · 357 screens
明け暮れあんなにいとしがって居られた故、わたしとしても無理ないことと思います。晴れた日に童子をつれた阿闍利さまはいつも山の路のないところで、山苺の実や、秋はあけびを摘んで食べておられました故、童子の亡くなったことはどんなに阿闍利さまの気をくるわせたかも判りません。しまいに阿闍利さまはああいう童子の腐った死体をどうなさるつもりでございましょう。」
山樵はそういうと、眼に阿闍利さまの姿を思い浮べたように愕然と身ぶるいをして見せたのです。わたくしは山樵のいうほどでもないと思いましたものの、ともあれ、一度山へ上って様子を見て置こうと思うたのでございます。
山の上はもう秋風がざわめいて、いつもと違った何か陰気な寂しさがこめられているようで、草の穂のそよぎも何となく薄気味悪く思われました。寺をたずねますとわたくしは驚きと恐ろしさのために卒倒しそうだったのでございます。それは阿闍利さまが炉のほとりで骨だらけの痩たお姿でじっと何か考えておられたのでございます。御衣も破れて、その衣の間に草のそよぎを感じるような気はいさえあったのでございます。童子はと見ますと、その姿はなく、蠅の飛びかう羽音のみが、あたりに凄じく致して居るのです。