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いまどぎつね
文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
小山内 薫
Read 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会 (いまどぎつね) by 小山内 薫 (おさないかおる) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 3,424 characters · 9 screens
と注意をすると、婢女は妙な顔をして、「お連様は」というのであった、彼も頗る不思議だとは思ったが、ただそれくらいのことに止まって、別に変った事も無かったので、格別気にも止めずに、やがて諸国の巡業を終えて、久振で東京に帰った、すると彼は間もなく、周旋する人があって、彼は芽出度く女房を娶った。ところが或日若夫婦二人揃で、さる料理店へ飯を食いに行くと、またそこの婢女が座蒲団を三人分持って来たので、おかしいとは思ったが、何しろ女房の手前もあることだから、そこはその儘冗談にまぎらして帰って来たが、その晩は少し遅くなったので、淋しい横町から、二人肩と肩と擦れ寄りながら、自分の家の前まで来て内へ入ろうと思った途端、其処に誰も居ないものが、スーウと格子戸が開いた時は、彼も流石に慄然としたそうだが、幸に女房はそれを気が付かなかったらしいので、無理に平気を装って、内に入ってその晩は、事なく寝たが、就中胆を冷したというのは、或夏の夜のこと、夫婦が寝ぞべりながら、二人して茶の間で、都新聞の三面小説を読んでいると、その小説の挿絵が、呀という間に、例の死霊が善光寺に詣る