Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 197,228 characters · 394 screens
「立てずにおくか。おびんずるめ」
「なにを」
「なにが何だ」
両方一しょに立ちかけた。ほかの小姓はあわてて止める。福島市松が逸まって、片桐助作のあたまを撲ってしまう。仲裁人を撲るやつがあるかと助作が撲りかえす。あっちで取っ組む、こっちで掴みあう。
小姓頭の堀尾茂助が、舌うちしながら駈けて来た。茂助の一喝にようやく鎮まったものの、ついこの頃、貼り代えたばかりの襖が破れ放題に破れているし、そこらの調度や机や書物なども乱脈に取りちらかって、目もあてられない有様である。
「殿さまのお眼にふれたら何とするか。はやく片づけろ。そして襖のあなを貼っておけ」
茂助は叱って、それぞれに勤めをいいつけた。獅子の児や豹の子をひとつ檻に入れておくと、彼らに退屈させておくことが、何よりも危険を生じやすかった。
その獅子の児や豹の子が、絶大な楽しみとしていることは、城外へ出て青空を見ることだった。その点、秀吉からゆるされて毎日塚原小才治の道場に通っている虎之助が、たれからも嫉視の的とされていたのは無理もない。
「於市、あしたは殿さまのお供だぞ。助作、権平のふたりもお供に加われ。朝はお早いかも知れぬから、そのつもりで不覚すな」