Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,758 characters · 383 screens

Aozora Bunko

撃ち出したのはもちろん明智方の松田太郎左衛門の銃隊である。

しかし、松田勢が先に火ぶたを切ったからといって、天王山の山上を先に踏んだのは明智方であったかといえば、そうはいえないものがある。

なぜならば、それよりずっと前に、羽柴方の侍、山川七右衛門、山川小七、岸九兵衛の三名が、こっそりそこへ登っていた。そしてまだ人気なき山上や麓の闇を見下ろしながら、

「この要地を真ッ先に乗っ取った者は恐らくわれらが一番であろう。この三名を措いてはあるまい」

と、遅れている味方や、まだ気配もない敵の静かさを嗤っていた。

すると、どこやらで、

「やかましい。黙ってその辺に身を伏せておれ」

と、叱った者がある。

驚いて、あたりを見廻すと、何ぞ図らん、自分たちより先に、この山上に来て、岩陰にうずくまり、居眠りをしていた男があった。

「誰か」

と、訊くと、

「高山右近の手の者、中川淵之助重定」

と、答え、

「貴公たちが、がやがやいうので、折角、敵が来るまで一睡りと思っていたのに、眼をさまされてしもうたではないか。ただ高い所へ登っただけでは、てがらでも何でもない。お互いにてがらを談じ合うていいのは、明智を全滅してからのことだろう。