Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,758 characters · 383 screens
“惟朝の重臣、中興の良士なり”
との勿体ない詔旨が宣らせ給うてあった。これを拝し、泉下の信長は、望外の光栄と身の本分に泣いたであろう。
善不善、凡非凡、人間としての信長はどういわれようと、彼の弓矢は、まさしく九重の御階に立ち匂い、彼の臣子一片の忠誠は、はしなくもこのありがたい宣に浴して、千載、国土とともにあるものとなった。
あわせて彼は、父織田信秀の、皇室中心の祖承をも完うしたものといえよう。まぎれなく、忠誠と臣道において、織田父子も、二代をかけた。信長は父逝く日まで、父にひとかたならぬ心案じをかけていた不孝の子であったが、今日、その父へも、大孝の子となったのである。
四十九年ノ夢一場
威名什カ存亡ヲ説カン
請フ看ヨ火裡の烏曇鉢
吹イテ海花ト作ッテ遍界ニ香シ
これは笑嶺和尚の偈である。
大葬礼の式場は、百二間の火屋霊堂のうちに執り行われた。五色の天蓋は目にきらめき、千万の燈明は星に似、沈木のけむりは、幢旛の翻るあいだから流れひろがって、数万人の会者のうえに、むらさきの雲を作していた。
僧侶だけでも、五岳の碩学、洛中洛外の禅律、八宗の沙門、余す者なく集会して、九品の浄土、五百阿羅漢、三千の仏弟子、目前にあるがごとし――と当時の目撃者はその状況を誌している。