Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 192,758 characters · 383 screens

Aozora Bunko

「よしよし、今日から大晦日まで、日頃、扶持取りの者の家族へ、五倍加増してつかわすがいい。ここに籠城する気はないゆえ、城米を蓄えて置くは無用である。――弓、鉄砲の組下や足軽小者などの残る妻子に、せめては煎じ茶のひとつもゆるゆる飲ませてやりとう思う。――その心もちをうしなわずに計らえよ」

「ありがとうぞんじまする」

「そちの退がるついでに、小西弥九郎に、すぐこれへと言伝けせい」

蔵奉行が立去ると、彼はその間に、鎧下着に着かえ、忽ち具足を身につけ始めた。

弥九郎行長は走って来た。

秀吉は、具足の緒を結びながら、陣中の所持金を彼にただした。高松陣の経理は弥九郎の任だったからである。費い余してあるかねは、銀子のわずか十貫目、金子四百六十枚に過ぎなかった。弥九郎がその旨を答えると、

「それだけは持って行け。使者や飛脚に与え、また何かの褒美につかう必要もあろう。よろしい、それだけを聞きおくのみだ」

彼は、浴室を出た。

そしてすぐ、小出播磨守に案内させて、長浜から来て待っているという使者の部屋へ自分から出向いた。

かかるうちにも、彼の心の一隅には、長浜の城にのこしてある老母と妻の寧子の身が、絶えず案じられていたであろうことは、彼なればこそなおさらのものがあったに違いない。