Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 176,911 characters · 353 screens
家康は、ねぎらって、
「当座の褒美ぞ」
と、銀銭若干を二人の百姓に与えて帰したが、にわかに、慌てるふうもない。――いや、まだその真偽を疑っていたのである。
ところが、また、半刻もたつと、青塚方面から帰って来た諜者の服部平六が、
「異なうごきが見えまする。森武蔵の兵が、潮のひく如く、いつのまにか、青塚を退き、何処へか、陣替えしましたか、行く先がわかりませぬ」
と、報じた。
同じ諜者組の桑山久太、花田仁助、島源三なども、犬山その他から、立ちもどって来、それぞれ、
「敵に、不審な移動あり」
として、篠木村の百姓代表の密告を、裏づけた。
「――今は」
と、家康も、眉を硬めた。
岡崎を衝かれたら、万事休すである。さすがの彼も、敵が、この小牧山をおいて、三河の本国へ出て行こうとは、予測していなかった。
「忠勝やある。数正やある。酒井忠次もすぐまいれ」
かれは、あわてない。鈍重にさえ見える。
すぐ呼ばれて来た、酒井、本多、石川の三将に、
「小牧の留守をせよ」
と、命令し、のこりの全軍をあげて、西軍の“追い撃ち”を決意した。
その頃また、如意村の郷士で石黒善九郎という者が、信雄の営所へ、密告に来た。