Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 190,406 characters · 381 screens

Aozora Bunko

多分に、不賛成である語気が、その中にこもっていたことはいうまでもない。

――考えておく。

しかしこの言葉は、藤吉郎にとれば、多分なる希望をかけて考えることもできる。少なくも、今までは、寧子の胸がさっぱり明らかでなかったが、寧子の胸さえすわっていれば、又右衛門の意志は、どうにも翻してみせる自信がある。

――考えておく。

は、断りではない。この先の宿題なのだ。藤吉郎は、もう寧子を妻にしたような気がしていた。

「お帰りなさいませ」

わが家へはいって、座敷へ坐っても、まだ考えていた。――その宿題についての、自信やら、寧子の胸やら。また、娶るとしたら、時期の問題やらを。

「中村からお便りが来ておりまする」

と、彼の召使は、彼が坐るとさっそく、一袋の黍の粉と、一通のてがみを前へ持って来た。

手紙は、中村の母からで、ひと眼見ても、懐かしさに、すぐ知れた。

そもじ様、かわりのう、いつもながら御奉公とのこと、何よりも、まずはうれしゅうぞんじそろ。先ごろは、米まんじゅうたくさんに、また於つみにも、衣しょうなど、まいどの贈りもの、礼のことばもおろか、ただ涙に候。

さてまた、

――と、母の文は、細々とこう書き出してあるのである。