Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Read 新書太閤記 (しんしょたいこうき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 190,406 characters · 381 screens
「はははは。買いかぶったわえ。わしはおぬしを」
「なぜ。なんでそれがしを、買いかぶったといわるるか」
「人いちばい、眼はしのきく男ぞと尊敬していたに、さりとは、お先の見えぬ」
「ふーむ」
藤吉郎は、笑う犬千代を、まじまじ眺めて、
「……そうかなあ?」
と、あいまいに呟いた。
「考えても御覧じ――」
と、犬千代は、いって聞かせるような口調である。
「相手は小人。――小人の中でも小人型の山淵右近ではないか。おぬしのために、首尾よう鼻をあかされることを、祈っておるはずはない」
「勿論だが……」
「というて、彼が、指をくわえて見ておろうか。――わしはそう考えんなあ」
「なるほど」
「極力、おぬしが、不成功に終るよう、邪魔を策しているにちがいない。……さすれば今宵、ここへ来いといわれた棟梁どもでも、来ないと考えたほうが正しかろう。職人、棟梁の輩は、おぬしよりも、山淵右近のほうが、ずんと偉い人と思うているしな」
「いや、分った」
藤吉郎は、あっさり頭を下げた。そして一膝すすめると、
「――ならばいっそ、この酒は、飲めよと、二人へ授かったようなもの。神の御意にまかせて、飲もうではないか」