Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Read 新潮記 (しんちょうき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 155,541 characters · 305 screens
……相手は転倒するなり、地上でくるりと身を転じたが、秀之進は踏みこんでその鼻先へ大剣をつきつけた。
「動くと斬るぞ」
相手は身を横たえ、片手を地についたままの姿勢で喘いでいた。
このあいだに少年たちが藤田家へ知らせたのであろう、あわただしい人声がしたと思うと、五六人の若侍たちがとびだして来て、ぐるりとまわりをとり巻いた。「どうしたんだ」「遺恨か、喧嘩か」口々に叫びだすのへ、秀之進は相手へ切尖をつけたまま答えた。
「闇討を仕掛けられたのです、御門前を騒がせて相済みませんが、お手出し御無用にねがいます」
「なに闇討だ、そいつか」若侍たちはのり出して来た、「おい提灯を持って来い」
「五つ六つ持って来い、われわれが検分してやろう、おいもっとみんなひらけ」
提灯を持ってまた二三人やって来た。その光りの動きに乗じて相手はいきなりもういちど、くるりと身を転がすと、すばやく半身を起こしざま右手を振った。道の上から掴みとった砂礫を即座の眼つぶしに使ったのだ。秀之進は予期したことのように身を跼め、さっと相手の腰へ打を入れた。
眼つぶしは秀之進の頭上を越して、とり巻いていた若侍たちの一人に当った。