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ふたばていよだん
新編 思い出す人々
内田 魯庵
Read 新編 思い出す人々 (ふたばていよだん) by 内田 魯庵 (うちだろあん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,401 characters · 427 screens
の寄書家の一人であったが、才幹はマダ認められなかったので、三人の社幹の中では美妙斎の名が世間的には最も重きをなした。
が、紅葉の才気は第一号以来の「風流京人形」に早くも現われて、水際立った文章の冴えが一段引立って見えた。かつ隅から隅まで万遍なく行渡った編輯上の努力の跡が歴々として、一座の総帥たる貫録が自ずから現われていた。
が、一日早く売出していた美妙斎の「情詩人」はやはり一番評判となった。殊に当時の女学生間にはこの為永を今様としたような生温い恋物語が喜ばれて、「わたしの心はこの胡椒……噛みくだいて粉にしてかおりを見て下さるなら……」というようなキザな文句が若い女に喜ばれて暗誦されたもんだ。が、紅葉の努力は全幅に滔れていたが、美妙斎の色彩は小説以外には頗る稀薄であった。美妙斎が冷淡であった乎、紅葉が一人で掻廻していた乎、どっちか知らぬがどの道『我楽多文庫』には美妙斎の気分が少しも現れていなかったから、自然文庫の読者には紅葉の印象が次第に濃くなった。その中に美妙斎はリューマチスと称して第六号からは小説を休載し、その後九号と十一号とにちょっと顔を出したぎりで何時となく分離してしまったから、美妙斎と硯友社との関係はあった乎なかった乎忽ち世間から忘れられてしまった。