Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
とりをとるやなぎ
新編 風の又三郎
Read 新編 風の又三郎 (とりをとるやなぎ) by Miyazawa Kenji (宮沢 賢治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 23,750 characters · 49 screens
いや縛る前に早く承諾書をとらなくちゃ。校長もさっぱり拙いなぁ。」
畜産の教師は大急ぎで、教舎の方へ走って行き、助手もあとから出て行った。
間もなく農学校長が、大へんあわててやって来た。豚は身体の置き場もなく鼻で敷藁を掘ったのだ。
「おおい、いよいよ急がなきゃならないよ。先頃の死亡承諾書ね、あいつへ今日はどうしても、爪判を押して貰いたい。別に大した事じゃない。押して呉れ。」
「いやですいやです。」豚は泣く。
「厭だ? おい。あんまり勝手を云うんじゃない、その身体は全体みんな、学校のお陰で出来たんだ。これからだって毎日麦のふすま二升阿麻仁二合と玉蜀黍の、粉五合ずつやるんだぞ、さあいい加減に判をつけ、さあつかないか。」
なるほど斯う怒り出して見ると、校長なんというものは、実際恐いものなんだ。豚はすっかりおびえて了い、
「つきます。つきます。」と、かすれた声で云ったのだ。
「よろしい、では。」と校長は、やっとのことに機嫌を直し、手早くあの死亡承諾書の、黄いろな紙をとり出して、豚の眼の前にひろげたのだ。
「どこへつけばいいんですか。」豚は泣きながら尋ねた。
「ここへ。おまえの名前の下へ。