Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

しんしゃくしょこくばなし

新釈諸国噺

太宰 治

Read 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) by Dazai Osamu (太宰 治) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 93,562 characters · 179 screens

Aozora Bunko

すきまなく並び、尾鰭は黄色くすきとおりて大いなる銀杏の葉の如く、その声は雲雀笛の歌に似て澄みて爽やかなり、と世の珍らしきためしに語り伝えられているが、とかく、北の果の海には、このような不思議の魚も少からず棲息しているようである。むかし、松前の国の浦奉行、中堂金内とて勇あり胆あり、しかも生れつき実直の中年の武士、或るとしの冬、お役目にて松前の浦々を見廻り、夕暮ちかく鮭川という入海のほとりにたどりつき、そこから便船を求め、きょうのうちに次の港まで行くつもりで相客五、六人と北国の冬には珍らしく空もよく晴れ静かな海を船出して、汀から八丁ほど離れた頃、風も無いのに海がにわかに荒れ出して、船は木の葉の如く飜弄せられ、客は恐怖のために土色の顔になって、思う女の名を叫び出し、さらばよ、さらばよ、といやらしく悶えて見せる者もあり、笈の中より観音経を取出し、さかさとも知らず押しいただき、そのまま開いておろおろ読み上げる者もあり、瓢箪を引き寄せ中に満たされてある酒を大急ぎで口呑みして、これを飲みのこしては死んでも死にきれぬ、からになった瓢箪は浮袋になります、と五寸にも足りぬその小さいひさごを、しさいらしい顔つきで皆に見せびらかす者もあり、なんの意味か、しきりに指先で額に唾をなすりつけている者もあり、いそがしげに財布を出して金