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うえの
日和下駄 一名 東京散策記
永井 荷風
Read 日和下駄 一名 東京散策記 (うえの) by 永井 荷風 (ながいかふう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 33,955 characters · 70 screens
」と言っている。雅談の成った年は其序によって按ずれば癸未暮春(明治十六年)である。また巻尾につけられた依田学海の跋を見れば明治十九年二月としてある。
香亭雅談には又江戸時代の文人にして不忍池畔に居を卜したものの名を挙げて下の如くに言っている。「古ヨリ都下ノ勝地ヲ言フ者必先ヅ指ヲ小西湖ニ屈スルハ其山水ノ観アルヲ以テナリ。服部南郭、屋代輪池、清水泊※(「さんずい+百」、第4水準2-78-45)、梁川星巌、深川永機等皆一タビ、跡ヲ湖上ニ寄ス。爾来文人韻士ノ之ニ居ル者鮮シトナサズ。」
服部南郭の不忍池畔に住んだのは其文集について按ずるに享保初年の頃で、いくばくもなくして本郷に移り又芝に移った。南郭文集初編巻の四に即事二首篠池作なるものを載せている。其一に曰く「一臥茅堂篠水陰。長裾休レ曳此蕭森。連城抱レ璞多時泣。通邑伝レ書百歳心。向レ暮林烏無数黒。歴レ年江樹自然深。人情湖海空迢※。客迹天涯奈二滞淫一。」
屋代輪池は幕府の右筆にして著名の考証家屋代大郎である。清水泊※(「さんずい+百」、第4水準2-78-45)は和学者村田春海の門人清水浜臣で、此二人はいずれも大田南畝と時を同じくした人であるが、わたくしはまだ此二家の不忍池畔にいた時の年代を調査する遑がない。