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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
Read 日本の文学 3 五重塔・運命 (うんめい) by 幸田 露伴 (こうだろはん) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 100,648 characters · 198 screens
帝猶孝孺を用いんと欲し、一日に諭を下すこと再三に及ぶ。然も終に従わず。帝即位の詔を草せんと欲す、衆臣皆孝孺を挙ぐ。乃ち召して獄より出でしむ。孝孺喪服して入り、慟哭して悲み、声殿陛に徹す。帝みずから榻を降りて労らいて曰く、先生労苦する勿れ。我周公の成王を輔けしに法らんと欲するのみと。孝孺曰く、成王いずくにか在ると。帝曰く、渠みずから焚死すと。孝孺曰く、成王即存せずんば、何ぞ成王の子を立てたまわざるやと。帝曰く、国は長君に頼る。孝孺曰く、何ぞ成王の弟を立てたまわざるや。帝曰く、これ朕が家事なり、先生はなはだ労苦する勿れと。左右をして筆札を授けしめて、おもむろに詔して曰く、天下に詔する、先生にあらずんば不可なりと。孝孺大に数字を批して、筆を地に擲って、又大哭し、且罵り且哭して曰く、死せんには即ち死せんのみ、詔は断じて草す可からずと。帝勃然として声を大にして曰く、汝いずくんぞ能く遽に死するを得んや、たとえ死するとも、独り九族を顧みざるやと。孝孺いよ/\奮って曰く、すなわち十族なるも我を奈何にせんやと、声甚だし。帝もと雄傑剛猛なり、是に於て大に怒って、刀を以て孝孺の口を抉らしめて、復之を獄に錮す。