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うんめい
日本の文学 3 五重塔・運命
幸田 露伴
Read 日本の文学 3 五重塔・運命 (うんめい) by 幸田 露伴 (こうだろはん) in Japanese with furigana. JLPT N1. Tap a word for the meaning.
N1 · advanced · modern kanji and kana · 100,648 characters · 198 screens
と苦労知らぬ高調子、無心の口々長閑に、拍子取り連て、歌は人の作ながら声は天の籟美しく、慾は百ついて帰そうより他なく、恨はつき損ねた時罪も報も共に忘れて、恋と無常はまだ無き世界の、楽しさ羨しく、噫無心こそ尊けれ、昔は我も何しら糸の清きばかりの一筋なりしに、果敢なくも嬉しいと云う事身に染初しより、やがて辛苦の結ぼれ解ぬ濡苧の縺の物思い、其色嫌よと、眼を瞑げば生憎にお辰の面影あり/\と、涙さしぐみて、分疏したき風情、何処に憎い所なし。なる程定めなきとはあなたの御心、新聞一枚に堅き約束を反故となして怒り玉うかと喞たれて見れば無理ならねど、子爵の許に行てより手紙は僅に田原が一度持て来りし計り、此方から遣りし度々の消息、初は親子再会の祝、中頃は振残されし喞言、人には聞せ難きほど耻しい文段までも、筆とれば其人の耳に付て話しする様な心地して我しらず愚にも、独居の恨を数うる夜半の鐘はつらからで、朧気ながら逢瀬うれしき通路を堰く鶏めを夢の名残の本意なさに憎らしゅう存じ候など書てまだ足らず、再書濃々と、色好み深き都の若佼を幾人か迷わせ玉うらん御標致の美しさ、却って心配の種子にて我をも其等の浮たる