Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Read 日本婦道記 (にほんふどうき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,286 characters · 16 screens

Aozora Bunko

新井白石は加州を「天下の書府なり」と云い、荻生徂徠は「加越能三州に窮民なし」と云った。また明の僧高泉は文宣王の治世に比して「さらに数歩を進めたるもの」とさえ称した。名だかい加賀の能楽も、綱紀の世にしっかりと金沢に根をおろしたのである。

こういうありさまなので、しぜん武家の婦人たちのあいだにも文学技芸がさかんだった。歌会、茶会、謡曲の集いなどがしばしば催され、ずいぶんすくれた才媛もあらわれた。かな女はそういう人々のなかでつねに頭角をぬきながら、なに一つ末遂げたものがなかったので、――あれだけの才がありながら。とその飽きやすい気質を惜しまれたものであった。

加代が多賀家へ嫁して来て三年になる、実家にいたときから鼓をやっていた彼女は、多賀家へ来てからも良人のゆるしを得て稽古をつづけた、しかし半年ほどすると姑のかな女が、もうやめたらどうかと云いだした。――鼓はもうそのくらいにして茶の湯を稽古してごらん。もう少しと思ったけれど、加代は姑のいうままに鼓をやめて茶の湯をはじめた、まえにいちおう道があいているので、進みかたもはやかったし興味も深くなったが、また半年ほどするとそれをやめて和歌につかせられた。