Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

Read 日本婦道記 (にほんふどうき) by 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 12,187 characters · 24 screens

Aozora Bunko

たいような懐かしさが感じられて、郷へ帰ったという気持がした。……松之助は稽古からまだ帰らず、家には啓七郎ひとり、ちょうど薬湯を煎じていたところだった、老僕のおとずれる声を聞いて玄関へ出て来たが、はいって来るお高を見るとあっという表情をした。

「ただいま戻りました」

お高は簡単にそう挨拶をすると、すぐ裏へまわって自分のすすぎをし、供の二人にもあがってひと晩泊ってゆくようにと云った。然しかれらは玄関で西村からの口上を述べ、手みやげなどを置いてあがらずにたち去った。

「どういうわけで帰った」

さし向いになって坐ると、啓七郎は煎じていた薬湯を湯のみにつぎながらそう云った、

「持たせてやった手紙は読まなかったのか」

「拝見いたしました」

「それなら事情はわかっているはずだ、おれも安穏な余生がおくれるし、おまえの一生も仕合せになる、そう考えてしたことなのに、眼さきの情に溺れてなにもかもうち毀してしまうつもりか」

「おゆるし下さいまし、父上さま」

お高はひしと父を見あげ、そこへ手をついた、

「わたくしもっと働きます、お薬にもご不自由はかけません、お好きなものはどんなにしても調えます、もっとお身まわりもきれいにして、お住みごこちのよいように致します、ですからどうぞお高をこの家に置いて下さいまし」