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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,045 characters · 322 screens
「おじいさんに恐山へでも連れてってもらうがいい。熊とおじいさんと三人で住むんだ。」
そんな事を大人はいって笑った。
アンポンタンと湯川氏はポツンポツンと問答をはじめる。
「おじいさんの頭はどうしてこうデコボコになったの?」
「小笠原島で亀の子の卵をあんまりたべたので、勢がついてデコボコになってしまった。」
「小笠原島の亀の子って、大きいの?」
アンポンタンは、背中に題目を彫られた大きな亀がつかまって、も一度海にはなされるとき、お酒をのませたのを覚えていて、その二尺五寸もある甲を思いうかべていた。
「そうだよ、大きな亀の子が揃って出て来て、浜の砂を掘って、ズラリと並べて卵を生んでゆくのだ。人間はそれを盗むのだからいけないな。」
「おじいさんも盗んだの?」
「そうだよ、盗んで幾個も食べた。」
「なんのために食べたの?」
「長生をするためにさ。」
「何故?」
「硫黄を――質のいい硫黄を製造して――硫黄の出る山はウンと見てあるのだけれど――お前のお父さんが承知さえしてくれれば……」
おじいさんは刀豆煙管をジュッと吸った。
「恐山に熊が出るの?」
「出てくるがなんともしない。」
「どんな風にしているの?」