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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Read 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) by 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 158,045 characters · 322 screens
ずっと昔、浅草猿若町へ、三座がひけぬ前の、葺屋町、堺町の賑いをとりかえしたかの観を呈した。もともと千歳座があったが、中芝居であり、人気のあった中島座は小芝居ですでに焼けて亡び、中洲に真砂座があっても、歌舞伎の稽古芝居か、新派であったので、明治座はたいした人気となった。
それに、そのころ尾上一家の細かい芸よりも、豪宕な左団次(今の左団次のお父さん)が時流に合って人気を得ていた時で、その左団次が座頭であり、団十郎が出動し、福助(今の歌右衛門)が女形だというので、左団次贔屓の力瘤は大変だった。
二絃琴のおしょさん芦須賀さんは、その左団次が、若い時からの岡惚れだといってさわぎ出した。
だから、曙山さんは左団次の弟子になった。おしょさんは、当地に馴染のない人だからと、毎日毎日楽屋へいろんなものをもたしてやる。ほかのものはいいがお汁粉をどっさりこしらえてもってゆく時は、おもよどんは運ぶのに大変だ。とにかく、お稽古はそっちのけで、明治座のはなしに無中になっている。
アンポンタンは十二、三の時から、あの貧乏な勝梅さん(前出、長唄の師匠)の蠣殻町の家から出ると豊沢団なんとかいう竈河岸の義太夫の師匠の表格子にたって、ポカンと中の稽古をきいて過し、びっくりして歩きだして橋を渡ると、千歳座の前で看板にひっかかり、それから附木店