Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
Read 早稲田大学 (わせだだいがく) by 尾崎 士郎 (おざきしろう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 112,204 characters · 220 screens
。
「いや、眼じゃなくて耳じゃよ」。
「どっちでもいいが、おれたちは壮士だ、唯やる、――実行のほかに能力はない、それにつけても惜しいと思うのは島田一郎、長連豪の徒輩だ。島田ほどの豪傑が何故一人で大久保を斬れなかったのか、人間は何時でも一人と一人の勝負だ、六人で大久保を襲ったのはいいが、あの連累者をぞろぞろ出したぶざまはどうだ、不用意も甚しいじゃないか、もしおれが大隈をやっつけるときがあったとしても、連累者だけは犬の子一ぴきたりとも出さんぞ」。
しいんとなると広間の騒ぎが壁にしみるように聞えてくる。そろそろ出かけよう、といって来島が立ちあがった。庭石づたいに裏木戸の方へ廻ると遠くに波の音が聞える。月のあかるさの中に二人の顔がうかびあがった。
「そうだとすると」。
星成が木戸をしめながら振りかえった。「おれは今夜、吉見屋へゆくのは見合せる、恒喜、貴公がよろしくいうてくれ」。
「何処へゆくんじゃ」。
「何処かへゆく、――しかし、さっきのことはしっかり約束したから心配するな」。
いい月じゃのう、と、とぼけた声で彼は空を見あげたのである。来島は門の柱にさわってみた。