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はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Read 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 9,930 characters · 20 screens
翌朝さっそく息子の源七の手前を何とかつくろって、源右衛門はその金を女へ渡したのだったが――結果は知れている。女もその妹という子供も、それきり豆店へは帰って来なかった。言うまでもなく女の小判は金座方の手になったほんとの小判だったのだ。女は新しい小判を相当用意して来て、夜中に起きて鍋や釜を火箸ででも叩いたり擦ったりして、さんざん壁越しに源右衛門の注意を惹いたのち、朝になると必ず子供に小判をもたせて出してやって、機を見て子供の口から源右衛門へ吹き込ませたもので――女が良くて、おまけに子供まで入っていたとはいえ、もとはといえば源右衛門の慾から出たことなので、豆店の人々は、まんまと三百両騙り取られた源右衛門を当分物笑いにしていたが、ひょいとこの話を聞き込んだのが、早耳という異名をとった花川戸の親分、岡っ引の三次だった。で、それとなくあちこちへ網を張ってその女を待っていると、間もなく思いがけないところでこの子供づれの女ぺてん師の尻尾を掴まえることができた。
第二話
そのころ駒形に兼久という質屋があって、女房に死なれた久兵衛という堅造のおやじが、番頭と小僧を一人ずつ使って、かなり手広く稼業をしていた。