Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
はやみみさんじとりものききがき
早耳三次捕物聞書
林 不忘
Read 早耳三次捕物聞書 (はやみみさんじとりものききがき) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 10,640 characters · 21 screens
三次は振向いた。
「誰の家ですい、ここあ?」
「へえ、そこがその、蜻蛉の辰の――。」
という声を皆まで聞かずに、三次が障子に手を掛けるとさらりと開いた。素早くはいり込んで後を閉めながら見ると、障子の内側にもおびただしい血の痕がある。しかも黒塗りのお菊の日和が片方、血にまみれて土間に転がっていた。
「辰さん!」
狭い暗い家に三次の声が響いた。と、すぐに人の起きて来るようすに、三次は思わず懐に十手の柄を握り締めた。
三
長屋の連中が蜻蛉の辰の軒下に立って呼吸を凝らしていると、なかでは長いこと話が続いたのち、やがて、三次ひとり狐憑きのような顔をしてぼんやり出て来た。
「蜻蛉はいましたか。どうしました?」
待ちあぐんでいた人々はいっせいに三次を取り巻いた。
「いましたよ。いますよ。」
と三次はなぜか溜息を吐いた。
「何せこっちあ早耳の親分だ。野郎、おそれいりやしたろう?」
「誰がですい?」
「誰がって親分、呆けちゃいけねえ、犯人さあね、辰さ。とんぼの畜生、おいらがお菊坊をばっさりやったに違えねえと、ねえ親分、即に口を割りやしたろう、え?」
「やかましいやい!」
急に三次が呶鳴りだした。