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めいじのせんそうぶんがく
明治の戦争文学
黒島 伝治
Read 明治の戦争文学 (めいじのせんそうぶんがく) by 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 11,887 characters · 24 screens
「別天地」等の小説によって看取される。
田山花袋は、日露戦争に従軍して「一兵卒」を書いた。同じ自然主義者でも、花袋は、戦争に対して、独歩とは幾分ちがった態度を取ったように、「一兵卒」一篇を見る場合感じられる。その差異については、後で触れるが、また、花袋の「第二軍従征日記」を取って見ると、やはりそこには、戦争と攻撃を詩のようだとした讃美が見られるのである。
島崎藤村については、その渡仏中のことを除いては、いまだ、戦争を作品の中に取扱っているのを知らない。しかし、日露戦争の勃発当時にあって、長編「破戒」の稿を起すにあたって、従軍したつもりで作品に力を打ちこむと云われたと伝えられる。この一事にも、おのずから戦争に対する態度と心持が伺われるような気がする。
このほか、徳田秋声、広津柳浪、小栗風葉、三島霜川、泉鏡花、川上眉山、江見水蔭、小杉天外、饗庭篁村、松居松葉、須藤南翠、村井弦斎、戸川残花、遅塚麗水、福地桜痴等は日露戦争、又は、日清戦争に際して、いわゆる「際物的」に戦争小説が流行したとき、それぞれ、こぞって動員されている。これは、取りも直さず、これらの諸作家が平常の如何に関らず戦争に際して、動員され得るだけの素地を持っていたことを物語るものである。