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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Read 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) by Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 23,970 characters · 48 screens
明日が、この事件の最後の日となることでしょうよ」
まだ道遠しと思っているのに、だしぬけの言葉。虎之介と花廼屋は、しばし、茫然。しかし、虎之介はやがて打ちうなずいて、
「なんのことだい。今度の二人殺しの犯人なら始めから分ってらアな。それは浅虫家の全員さ。それだけじゃア、昔のナゾがとけていないよ。なア、新十郎どん」
「いいえ、たぶん、全てのナゾの最後の日です。そして、恐らく、大そう陰鬱な日となるでしょうよ。では、さよなら」
★
虎之介の話をきき終った海舟、悪血をとりつつ黙々たること半時間あまり。朝食がすんで間もないらしく、虎之介の前には持参の竹の包がちらかっている。
「その未亡人は、智力胆力兼備の女丈夫さ。事に処して神速適切、殆どあやまったところがない。沈着細心、大丈夫といえども史上にあまたその例を見かけぬほどの豪の者さ」
と、意外な大讃辞を呈して、一息。
「癩病とあるのは事実無根の作りごとだ。業病の汚名に甘んじても隠さねばならぬ大きな秘密があったのだ。言うまでもなく浅虫権六は自殺ではなかろう。殺されているのさ。下手人は長男博司。親殺しの大罪とあれば、癩病、狂死と家名に傷のつくことをいいふらしても、ひた隠しに隠さなくちゃアならねえや。