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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Read 星女郎 (ほしじょろう) by 泉 鏡花 (いずみきょうか) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 52,344 characters · 104 screens
途端に横手の縁を、すっと通った人気勢がある。ああ、白脛が、と目に映る、ともう暗い処へ入った。
向うの、離座敷の障子の桟が、ぼんやりと風のない燈火に描かれる。――そこへ行く背戸は、浅茅生で、はらはらと足の甲へ露が落ちた。
(さあ、こちらへ。)
ここで手を離して、沓脱の石に熊笹の生え被った傍へ、自分を開いて教えました。障子は両方へ開けてあった。ここの沓脱を踏みながら、小手招をしたのでしょう。
(上りましても差支えはございませんか。)
とその期に及んで、まだ煮切らない事を私が言うと、
(主人がお宿をいたします。お宅同様、どうぞお寛ぎ下さいまし。)
と先へ廻って、こう覗き込むようにして褥を直した。四畳半で、腰を曲げて乗出すと、縁越に手が届くんですね。
(ともかく御免を、)
高縁へ腰を蹂って、爪尖下りに草鞋の足を、左の膝へ凭せ掛けると、目敏く貴婦人が気を着けて、
(ああ、お濯ぎ遊ばしましょうね。)
と二坪ばかりの浅茅生を斜に切って、土間口をこっちから、
(お綾さん――)
と呼びます。
(ああ、もしもし。)
私は草鞋を解きながら、
(乾いた道で、この足袋がございます。よく払けば、何、汚れはしません。