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しゅんかしゅうとうりょうりおうこくじょにかえて
春夏秋冬 料理王国
北大路 魯山人
Read 春夏秋冬 料理王国 (しゅんかしゅうとうりょうりおうこくじょにかえて) by 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 8,328 characters · 18 screens
ここに絵画の心がある。絵筆は手の延長であり、ゴフンは心の表現であるからだ。白鳥も、夕月も、美人も、平気でゴフンをぬってはならぬはずだ。おのずからその白さがちがうように、これを描く人の心も、その時その時にかわっておらねばならぬ。すなわち夕月をぬる時は、夕月は白いからゴフンをぬるのでは駄目だ。「夕月だ、淡く、冷たい夕月だ」と心に思ってぬらねばならぬ。美人だから、色が白いというのではなく、美人の頬だ、美人の手だ、美人の皮膚のやさしく、生きた肌に心が交うのでなくてはならぬはずだ。こうして描かれた絵であれば、同じゴフンでもそれぞれのちがった白さが表現されるものだ。
料理において、塩を使う時、それがからくするための塩か、しるこなどをつくる時の、甘味を増すための塩かを考えて、からくする時は、からい塩と心に思って作れ。おしるこの時は、甘くなれと心に思ってひとつまみの塩を投ぜよ。茶さじ何ばいなどと、きっちりはかって入れてみても、その材料、火加減などで、必ずしも思った味になるとはかぎらぬ。作るときの心ということは、なにをするにかぎらず大切なことなのだ。絵を描く人も、この心を失って、ただ、ぬるだけなら、芸術家ではなく職人だ。