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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,865 characters · 432 screens
「承知しました」
鷹のありかもまず判って、俄かに元気のついた鳥さしの老人は、辰蔵に水を汲ませて、籠のなかの雀を一羽ずつ掴み出した。毎日手馴れている仕事であるから、雀の羽にねばりついていた鳥黐もたちまち綺麗に洗い落された。
「これで飛ぶには差し支えありませんね」と、半七は念を押した。
「きっと飛びます」
「これで支度が出来た。さあ、行きましょう」
三人はすぐに当兵衛の家をたずねた。大きい冠木門の家で、生け垣の外には小さい小川が流れていた。半七は立ち停まって辰蔵に訊いた。
「貴様はさっきその鷹を持って来たときに、主人に逢ったんだろうな」
「逢いました」
「その鷹はどうした」
「入れる籠がないとかいうので、ともかくも土蔵のなかへ入れて置くと云っていました」
「むむ、いずれ何処にか隠してあるに相違ねえ。ここの家に土蔵は幾つある」
「五戸前ある筈です」
半七は門の内へはいって、すぐに主人の当兵衛を呼び出した。
「御用がある。土蔵の戸前をみんな明けて見せろ」
当兵衛はおどおどしながら何か弁解しようとするのを、半七は追い立てるようにして、奥の土蔵前へ案内させた。御用の声におしすくめられて、当兵衛は五つの土蔵の扉を一々にあけた。