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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,865 characters · 432 screens
ほかの者が縛って突き出そうと云っても善昌がなだめて免してやる。さあ、こうなれば諸人の信仰は愈々増して、弁天様の霊験あらたかであるという評判がいよいよ高くなる。信者が俄かにふえる。収入も多くなる。
この相談を持ちかけられて、与次郎という奴は馬鹿か、ずうずうしいのか、それは面白いと受け合って、とうとうその芝居を実地にやってみることになったんです。そこで筋書の通りに運んで行って、賽銭を袂に入れる。金目になりそうな仏具を背負い出すという段になると、留守のはずの善昌が奥から出て来て、からだが竦むというだけではいけない、これを食って苦しむ真似をしてくれと云って、仏前に供えてある菓子と餅とをとって与次郎の口へ押し込んだので、なに心なくむしゃむしゃ食うと、さあ大変、与次郎はほんとうに苦しみ出して、口や鼻から血を吐くという騒ぎ。お国も奥で様子を窺っていて、与次郎がもう虫の息になった頃をみすまして、善昌は裏からそっと出て行く。お国は表口へ廻って来て、今初めてそれを見つけたように騒ぎ立てる。与次郎は一杯食わされて、さぞ口惜しかったでしょうが、もう口を利く元気もない。餅と菓子とを指さしただけで、苦しみ死に死んでしまったのです。