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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
買ったのではない、貰って来たのである。お福の宿の魚八では、近ごろ店の商売が思わしくないので、女房と息子は商売の片手間に河豚の皮を干している。最初はその皮を売るだけであったが、それでは儲けが薄いというので、この頃は泥鉢の胴を仕入れて来て、自分の家で太鼓を張っている。もとより子供の玩具であるから、河豚の皮さえあれば誰にでも出来るらしい。玉太郎はそれを土産に貰って来たのである。
「魚八ではその太鼓を商売に卸すのですかえ。それとも息子が売りに出るのですかえ」
「さあ、それはどうでしょうか」と、要助も首をかしげていた。
「いや、大抵はわかりました。お乳母さんの事もまあ心配することは無いでしょう。それからもう一つ訊きたいのは、そのお福は占いに見て貰うとか、お神籤を頂くとか、そんな事をしますかえ」
「はい。子どもには死に別れ、亭主には生き別れ、とかくに運の悪い女でございますので、自然と占いやお神籤を信仰するようになりましたようで、時々にそんな話をして居ります」
河豚太鼓、白雲堂、それらの糸の繋がりがだんだんに判って来たように思われたが、まだ迂濶なことは云われないので、半七はいい加減に挨拶して番頭を帰した。