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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
わたくしが横浜へ行った留守にお角さんが来て、一緒に江戸へ行ったのかと思いますが、それも確かには判りません」
「さっき江戸へ行ったと云ったのは嘘だね。確かな事じゃあねえのだね」
「恐れ入りました」
大川へ投げ込まれた早桶のぬしは確かに島田庄吉で、お角に誘い出されて何処かで殺されたに相違ないと半七は鑑定した。
「先生とお角が飲みに行くところは何処だ」
それは神奈川の台の江戸屋であると、吾八は答えた。三五郎を番人に残して、半七は松吉を連れてすぐに江戸屋へ行った。そこの帳場で聞きあわせると、島田とお角は九日の四ツ半(午前十一時)頃からここの二階へ来て、八ツ半(午後三時)頃まで差し向いで飲んでいたが、島田は正体もなく酔い潰れてしまったので、お角は駕籠を呼んで貰って、彼を扶け乗せて帰った。
いかに酔い潰れていると云っても、眼と鼻のあいだの近いところを駕籠に乗せて帰るのは少しおかしいと、半七はその駕籠屋を呼んで詮議すると、かれらはお角に頼まれて、正体のない島田を生麦の立場まで送ったと云うのである。お角も駕籠に付いて行って、そこの立場茶屋へ島田を扶け入れ、相当の酒手をやって駕籠を戻した。