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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
姉のかたきと云えば云われるが、伝蔵のような罪人は公儀の手に召し捕らせて、天下の大法に服させるのが当然であって、私のかたき討ちをすべきでは無いと、半七は云い聞かせた。
「親分のお諭しはご尤もでございますが、あの伝蔵を自分の手で仕留めなければ、わたくしの気が済みません。母の胸も晴れません。首尾よく本望を遂げました上は、自分はどんなお仕置になっても厭いません」と、鶴吉は飽くまでも強情を張った。
一途に思いつめた若い者に対して、半七はいろいろに理解を加えたが、彼はどうしても肯かないのである。しかも半七はその強情を憎むことも出来なかった。
「それほど思い詰めたら仕方がねえ。まあ、思い通りにかたき討ちをおしなせえ」
「有難うございます。ありがとうございます」と、鶴吉は涙をながして喜んだ。
「そこで、その伝蔵のありかを突き留めて、わたしらの手で押さえるならば仔細はねえが、おまえさんの手で討つとなると、仕事がちっと面倒だ。伝蔵という奴は腕が出来るのかえ」と、半七は訊いた。
「なに、たいして出来る奴でも無さそうですが……」と、直七が引き取って答えた。「それが主人を一刀で斬って、つづいてお関さんも斬ってしまうと云うのは、あんまり手ぎわが好過ぎるようにも思われます。