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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
それで逃げてしまえばいいのに、また引っ返して来て今度はわたくしを斬ろうとした。本人は藤助を斬るつもりだったと云っていましたが、どっちにしても又出直して来たのが不覚で、とうとう運の尽きになりました」
「茂兵衛と銀八はすぐに召し捕られましたか」
「召し捕りました。庄太はまだ帰って来ず、わたくし一人では手に余るかと思ったのですが、うかうかしていて高飛びをされると困るので、まあどうにかなるだろうと、多寡をくくって、わたくし一人でむかいました。夜の商売でありませんから、下総屋はもう大戸をおろして、潜り戸の障子に灯のかげが映しているので、わたくしは藤助を指図して、外から唯今と声をかけさせました。冥途の道連れにされた筈の藤助が、無事に帰って来たので、内でもおどろいたのでしょう。銀八がすぐに潜り戸をあけて表を覗く。そこへわたくしが飛び込んで、有無を云わさずに縄をかけてしまいました。
その物音を聞きつけて、奥から亭主の茂兵衛が出て来ましたから、これもすぐに押さえました。相手が二人ですから、一度に召し捕るのはむずかしいと思っていましたら、都合好く順々に出て来たので、案外にばたばたと片付きました。