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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 215,744 characters · 434 screens
「親分、すっかり洗って来ました」
「やあ、御苦労。早速だが、その女隠居は幾つで、どんな女だ」
「名はお半と云って、四十五です。八年前に亭主に死に別れて、三年前から杉の森新道に隠居して、お嶋という女中と二人暮らしですが、店の方から相当の仕送りがあるので、なかなか贅沢に暮らしていたようです。四十を越してもまだ水々しい大柄の女で、ふだんから小綺麗にしていたと云います」
「駿河屋の養子はなんというのだ」
「信次郎といって、ことし二十一です。先代の主人の妹のせがれで、先代夫婦の甥にあたるわけです。先代には子供がないので、十一の年から養子に貰われて来て、十三のときに先代が死んだ。何分にも年が行かねえので、当分は義母のお半が後見をしていて、信次郎が十八の秋に店を譲ったのです。十八でもまだ若けえが、店には吉兵衛という番頭がいるので、それが半分は後見のような形で、商売の方は差支え無しにやっているそうです。若主人の信次郎は色白のおとなしい男で、近所の若けえ女なんぞには評判がいいそうです」
「信次郎はまだ独り身か」
「そんなわけで、男はよし、身上はよし、年頃ではあり、これまでに二、三度も縁談の申し込みがあったそうですが、やっぱり縁遠いというのか、いつも中途で毀れてしまって、いまだに独り身です。