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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Read 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 217,272 characters · 434 screens
半七は再び木魚をたたいた。
「和尚の居間はどこだね」
「こっちですよ」
友吉は先に立って行きかかると、半七もふた足三足ゆき掛けたが、また小戻りして松吉にささやいた。
「おい、松。その木魚には仕掛けがある。あっちへ行っている間に調べて置け」
無言でうなずく松吉をそこに残して、半七は友吉のあとを追ってゆくと、破れ襖は明け放されたままで、住職の居間という六畳敷のひと間が眼の前にあらわれた。半七は先ず押入れをあけると、内には寝道具と一つの古葛籠があった。葛籠には錠が卸してなかった。
「ちょいと手を借してくんねえ」
友吉に手伝わさせて、半七は押入れから寝道具をひき出してみると、枕は坊主枕一つと木枕二つ、掛蒲団と敷蒲団も三、四人分を貯えてあるらしかった。大きい古蚊帳も引んまるめたように畳んであった。
松吉はそっと来て声をかけた。
「親分……」
なにかの発見をしたらしい眼色を覚って、半七は友吉を見かえった。
「おめえはちょっとの間、玄関の方へでも行って待っていてくれねえか。邪魔にするわけでもねえが、御用で調べ物をする時に、他人が傍にいちゃあ困ることがある」
友吉はおとなしく立ち去った。